🎓 目次
🎬 グレゴリウスの生い立ち
時は西暦540年ごろ。
グレゴリウスは、帝政ローマの栄光の記憶がまだ街に残るローマで生を受けました。
彼が生まれたのは、帝政ローマ時代から続く名門中の名門であるアニキウス家。
父親はローマの有力貴族で、元老院議員を務めた人物。
母親は敬虔なキリスト教徒で、後に聖人として列聖されるほどの徳の持ち主。
もうね。
生まれが凄い!
元老院と言えば政治の中枢を担う役職ですよ。
貴族オブ貴族!しかも母親聖人!
こんなんもう将来はパンパカパーンですよ。
「はいチートな人生約束されましたー!」感が半端ない!
と、思いきや…。
🏛️ 荒廃するローマと少年の目線
実はこの頃のローマは大変な時代を迎えていたんですね。
かつては「永遠の都」と呼ばれ、
七つの丘に囲まれ、
神殿と浴場、
フォーラム、
円形闘技場が並び、
世界の果てからローマを目指して人々が集った街!
素晴らしいですねー。まさに栄光!
しかし西暦540年頃のローマには、もはやその面影はありませんでした。。
瓦礫と泥の匂いが通りを満たし、
放置された石像の目には雨水がたまり、
風が吹けば、崩れた屋根の瓦がカラカラと鳴る…。
かつてのフォーラム・ロマヌムには人影がまばらで、
元老院議員が議論を戦わせた石段には、野犬が昼寝をしているような状態。
…完っ全に荒廃してたんですね。
魔王に蹂躙された後の街みたいな感じになってたんです。
⚔️ ローマ帝国の終焉
一体なぜ、あの栄光のローマがそんな事になったのか。
みなさん、学校での授業を思い出してください。
ゲルマン民族の大移動!
やりましたよね!?世界史で!
当時、元々1つだったローマ帝国は、
西ローマ帝国と、後にビザンツ帝国と呼ばれる東ローマ帝国に分かれてたんです。
その西ローマ帝国の方に、フン族に追われたゲルマン民族が
ウワーッと、押し寄せたんですね。
西ローマ帝国は彼らを防ぎきれず。
各地で略奪や破壊が起きるわ、
内乱が多発して政治は安定しないわでグッチャグチャになって。
最終的には、ゲルマン人の傭兵隊長オドアケルが
西ローマ皇帝を廃位するという…
そんな形で西ローマ帝国は滅びてしまうんです。
🔥 崩壊した都と疫病の追い打ち
西ローマ帝国が滅亡した後も、
ビザンツ帝国(東ローマ帝国)が西ローマを取り戻そうとして、
戦争に次ぐ戦争!
一応、ビザンツ帝国がローマ市の支配権を取り戻したものの…
街は戦争によってすでに崩壊。
そしてそこにペストが流行してさらなる追い打ちをかける!
…悲惨。。
ローマ市の外には戦死者が山のように積み上げられ、
飢餓により、人々はネズミや雑草を食べて命をつないだらしいです。。
もうね、地獄絵図…。この世の終わりですよ…。
🕊️ 教会だけが残った
みなさん。これはファンタジーの世界のお話ではありません。
「現実に」こんな事があったんですね。
当時、多くの貴族が没落していく中。
アニキウス家は唯一統制の取れていた教会に土地を寄付し、
教会と深く結びつく事で、荒廃するローマ市で生き延びていました。
他の民族たちも、
教会の土地に手を出す事は「神の怒りを買う」と恐れ、控える事が多かったようです。
また当時、キリスト教は西ヨーロッパの広い範囲に根づきつつあり、
時々の支配者たちも教会を保護することで統治を円滑に進めようとしたんです。
おかげでグレゴリウスは貴族としてちゃんとした教育を受け、
育っていく事が出来ました。
🧠 少年グレゴリウスの葛藤
しかし外を見れば、瓦礫の中でパンを乞う人たち。
そして毎日の様に、死者を弔う鐘の音が聴こえてくるんです。
昨日門の外でパンを乞うてた人が、
今日は死体となっている日常。
同世代の子供たちも痩せこけてバタバタと倒れていく。
そんな中で自分だけが〝何故か〟恵まれた暮らしをしているんです。
…ギャップが凄い。
いや、ギャップが酷い。
そんな世界は少年の心にどう映ったでしょう?
みなさんならどう感じると思いますか?
🗣️ 少年が見つめた儚きローマ
後年、グレゴリウスはこう語ったと伝えられています。
「私は幼き日よりローマの栄光を目にし、やがてその栄光がいかに儚く崩れ去るかを見た。
石のごとき宮殿は崩れ、勝利の歓声は死の沈黙に変わった。
それでも人はなお、朽ちるものに執着する。」
この言葉には、少年時代に目の当たりにした現実と心の揺れが詰まっているように思えませんか?
ローマの「栄光」に縋って生きる自分。
でも外を見れば、そんな物はすでに崩れ去っているんだと、
突きつけられる現実。
その狭間で、グレゴリウスは成長して行くんですね。
――歴史に名を残す人物にも、
こんな激動の時代と心の葛藤があったのです。
✍️ つづく…
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