📘目次
🏚️帰還したグレゴリウスを待っていたもの
579年頃。
コンスタンティノープルでの任務を終えてローマ市へ戻ったグレゴリウスを迎えたのは、かつて以上に荒廃した都でした。
ランゴバルド族の侵攻で農地は荒らされ、飢饉が深刻化。ペストの再流行で人口はさらに減少し、行政はすでに機能不全。
市民は教会の施しにすがり、かろうじて命を繋いでいました。
🧓満身創痍、彼の心と身体
この時、グレゴリウスは40代前半。
当時の感覚ではすでに“壮年”から“老境”へと足を踏み入れる年齢です。
長引く外交交渉と慣れない宮廷生活の疲労が積み重なり、帰還した彼の体はすっかりやつれ、持病も悪化していました。
満身創痍。
ローマ市のために戦い続けた彼は、肉体的にも精神的にも、もう限界に達していたことでしょう。
🙏静寂を願いながらも再び立つ
修道士として静寂な生活に戻りたい――彼はそう強く願っていました。
けれど、深刻さを増す現実から目を背けることはできませんでした。
疫病、飢饉、ランゴバルド族の脅威に直面する市民たちに請われ、
グレゴリウスは再び立ち上がり、大執事(ディアコヌス)として教皇の補佐役を引き受けることになります。
🌊ローマを襲った新たな災厄
しかし…。
西暦589年。
テヴェレ川の大洪水がローマ市を襲い、街は壊滅的な被害を受けました。
衛生状態は悪化し、病が広がっていきます。
そして西暦590年。
荒廃したローマ市を何とか立て直そうと奔走していたローマ教皇ペラギウス2世が、ついにペストの犠牲となります。
😔耐え続ける都
これでもかと言わんばかりの災厄に見舞われるローマ市。
行政はすでに麻痺し、かろうじて機能していた教会すら、そのリーダーを失います。
…どれだけ…
一体どれだけ、この都は耐えればいいのか。
コメント