📖第5章 荒廃の都

📘目次


🏚️帰還したグレゴリウスを待っていたもの

579年頃。
コンスタンティノープルでの任務を終えてローマ市へ戻ったグレゴリウスを迎えたのは、かつて以上に荒廃した都でした。

ランゴバルド族の侵攻で農地は荒らされ、飢饉が深刻化。ペストの再流行で人口はさらに減少し、行政はすでに機能不全
市民は教会の施しにすがり、かろうじて命を繋いでいました。

🧓満身創痍、彼の心と身体

この時、グレゴリウスは40代前半
当時の感覚ではすでに“壮年”から“老境”へと足を踏み入れる年齢です。

長引く外交交渉と慣れない宮廷生活の疲労が積み重なり、帰還した彼の体はすっかりやつれ、持病も悪化していました。

満身創痍。

ローマ市のために戦い続けた彼は、肉体的にも精神的にも、もう限界に達していたことでしょう。

🙏静寂を願いながらも再び立つ

修道士として静寂な生活に戻りたい――彼はそう強く願っていました。
けれど、深刻さを増す現実から目を背けることはできませんでした。

疫病、飢饉、ランゴバルド族の脅威に直面する市民たちに請われ、
グレゴリウスは再び立ち上がり、大執事(ディアコヌス)として教皇の補佐役を引き受けることになります。

🌊ローマを襲った新たな災厄

しかし…。

西暦589年。
テヴェレ川の大洪水がローマ市を襲い、街は壊滅的な被害を受けました。
衛生状態は悪化し、病が広がっていきます。

そして西暦590年
荒廃したローマ市を何とか立て直そうと奔走していたローマ教皇ペラギウス2世が、ついにペストの犠牲となります。

😔耐え続ける都

これでもかと言わんばかりの災厄に見舞われるローマ市。
行政はすでに麻痺し、かろうじて機能していた教会すら、そのリーダーを失います。

…どれだけ…
一体どれだけ、この都は耐えればいいのか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました